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「BIUTIFUL ビューティフル」バルセロナの朝焼け

人は、人生最後の日々に何をするのだろう

という謳い文句の映画である。末期がんの宣告をされて余命二ヶ月。こういう男の物語は「生きる」を出すまでもなく幾つも作られた。しかし、予想に反して男は何かを始めるわけでもない。そもそも、我々の目の前に現れるのは、かつて見たこともなかったスペインバルセロナの裏町の現実である。

監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演 ハビエル・バルデム (Uxbal)
マリセル・アルバレス (Marambra)
エドゥアルド・フェルナンデス (Tito)
ディアリァトゥ・ダフ (Ige)
チェン・ツァイシェン (Hai)

002ビューティフル(小)

男ウスバルを演じたのは、バビエル・バルデム。かつて人間性の欠如した殺人鬼になったこともあるし、とびきりのプレイボーイにも何度もなった。清濁あわせ持つ人間を演じてピカイチである。その男がスペインの裏の顔を総べて飲み込むような男になって我々の前に出てくる。

彼の主な職業は斡旋屋である。仕事を紹介して賃金のピン撥ねをしているのであるが、案外面倒見もよくヤクの摘発に捕まらないように警官と裏取引を試みたり、中国人の貧困ビジネスの25人の集団の暖を取るために暖房機を買い入れたりもしている。警察に捕まった夫の頼みを受けてセネガル人の妻の住所を見つけたりもしている。また、彼は「イタコ」のような特技も持っていて、時々なくなった人間の言葉を遺族に伝えるアルバイトもしている。私生活では、妻は躁鬱症で別居中だ。子供二人を面倒を見ながらギリギリの生活をしている。小学一年ぐらいの男の子と、小学四年ぐらいの女の子の食事はずっと彼が作っていた(けれども毎日コンフレークと焼き魚の日々ではある)。食べるシーンが何度も出て来る。それはすなわち、彼たちが生きているということなのだ。

夜明けのバルセロナの街が美しい。ウスバルは生まれて直ぐ父親と死に別れ、母も早く亡くし満足に学校にいってなかったのか、子供にBEAUTIFULの綴りを聞かれて「BIUTIFUL」と答える。つづりは間違えるけれども、美しい世界は都会の下町の中でも確実にあるのである。

一瞬映った亡霊は一体誰だったのか。

死の宣告がされた後も、彼は「子供を残して死にたくない」といい、別れた妻との関係修復も試みるが、時々現れる精神の不安定さにやはり妻と別れ、知人のアパートにもぐりこみ、彼女に子供の行く末を頼む。それが如何に危ういかを男は既に判断できないほど病状が進んでいた。

また、彼は判断ミスで世話をしていた中国人25人を事故死させる。「赦しを請いなさい」というアドバイスも聞けないくらい彼は何も出来ない。

生きる、ということは、大切な人を守り、大切な人を傷つけ、愚かなことを繰り返し、そして大きな罪を犯し、美しいものを見る、ということなのか。死ぬ前に人は、それでも黒曜石のような純粋なものを人に残すことが出来るのか。

私の父の最期と重なって、そして自分の最期を想い、心が抉られるようだった。イニャリトゥ監督も「父に捧げる」と最後に告白する。記憶に残る映画だった。「バベル」よりも、ずっとこちらのほうがいい。
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